Berkeley, California | Golden Gate Sotheby’s International Realty
健康や持続可能性、コミュニティと自然の融合などを重視した価値観の変化を受け、2025年のインテリアデザインと建築では、「意識して生活を送ること」がトレンドとなっています。このトレンドでは、表面的な美しさにとらわれない総合的なアプローチが必要となります。自然、マインドフルネス、テクノロジーを住宅に取り入れ、日常生活をより良くする安らぎの場として邸宅を設計するのがトレンドです。今回ご紹介する5つの住宅のトレンドは、住宅の内部を区切らないオープンプラン設計を取り入れた静かな隠れ家から、活発に交流するコミュニティを育む地区づくりまで、私達のウェルビーイングを促進する環境づくりに重点を置いています。
Phoenix, Maryland | TTR Sotheby’s International Realty
安らぎのスペース
より良く生きようとする姿勢である「ウェルネス」の考え方は、各家庭ごとにこれまでも取り入れられてきたかと思います。2025年はこれがさらに進化し、リゾートのような快適さを取り入れた「ウェルビーイング」へと進化すると見ています。瞑想室や読書コーナーなど安らぎのスペースを作ることへの関心がますます高まり、デジタル機器や目まぐるしく動く世界から離れた安らぎの場を提供します。メリーランド州フェニックスにあるウィンドン・エステートには、木製パネルに囲まれた美しい読書用の小部屋があり、緑豊かな敷地を見下ろす大きな窓が特徴的です。この邸宅は、豪華でありながらも、静かに熟考するためのスペースもしっかりと設けてられている好例です。
Mexico | Mexico Sotheby’s International Realty
屋内の快適さと屋外の自然を融合した家
気候条件が良いエリアでは、屋内の快適さと自然の美しさとを融合させ、屋外に開放的な空間を作り出すこともできます。こうした設計は、ウェルビーイングのために欠かせない、太陽光や爽やかな空気と緑を居住空間に取り入れるボーダレスな構造が特徴です。「屋内と屋外の境をなくす建築は、その建物だけでなく、そこでの暮らしの両方の価値を高めます」と、ロンドンを拠点とするポール・アーチャー・デザインのディレクター、エミル・ノイマン氏は述べます。「屋内空間が屋外の自然ともつながっているのはとても贅沢なことです。シャワー室の開閉式屋根や、屋外のキッチン、屋内から屋外へとつながるスパなどの設備で、自然と接することができると考えるだけでわくわくします。」
メキシコシティ郊外のカサ・ロマス・カントリークラブはこの手法を取り入れた邸宅の好例です。建築家のマノロ・メストレとロレーナ・ビエイラが設計し、風水の考えも取り入れつつ、緑豊かな森と室内空間を上手に統合しています。室内は広々としたテラスにつながる巨大なスライド式ガラスドアが特徴で、内外の境界をぼかすことで、静かで没入感のある隠れ家を作り出しています。
Weston, Massachusetts | Gibson Sotheby’s International Realty
深みある豪華さ
2025 年のトレンドのひとつとして、深みのある特徴的な配色と豪華な質感を備えたインテリアへの関心の高まりもあげられます。このトレンドは、必要なものを最小限にまでそぎおとすミニマリズムの考えに対抗し、洗練された色彩で優雅でムーディーな空間へとシフトしてきていることを表しています。マサチューセッツ州ウェストンにある長い歴史を持つ家では、木製パネルのラウンジにより、住人を深みのある豪華さで包み込みます。この部屋には美しい黒大理石の暖炉があり、エメラルドグリーンのカーテンやルビーレッドのクッションなどの宝石のような織物に、アールデコ調の照明が時代を超えた魅力的な雰囲気を醸し出しています。
Berkeley, California | Golden Gate Sotheby’s International Realty
スマートかつ環境配慮された邸宅
サステナブルであることは2025年も引き続きデザインにおいて重要なファクターです。環境意識の高まりとともに、環境に配慮された、いわゆるパッシブな冷暖房設備を備える邸宅が未来の生活の基準となると考えられています。これらの邸宅では、日よけ、自然換気、熱を吸収・貯蔵・放出できる熱質量の高い素材で低エネルギー消費を実現し、二酸化炭素を排出する機械の使用を減らします。デザイン戦略に基づく伝統的な職人技と、直射日光が当たると自動的に窓にブラインドを下ろすセンサーなど高度な技術の両方が重要な役割を果たしています。
この顕著な例が、カリフォルニア州バークレーのネスト・ハウスです。設計者のアーティファクト・コラボレーティブの共同創業者、ブリジェット・シャンク氏は気候変動への対策の必要性が高まる中、パッシブなデザイン戦略の採用は「最優先事項であるべきだ。これらの戦略はデザインに影響を与え、環境とのつながりを強める方法で表現することもできる」と述べます。ネスト・ハウスでは家の東側のコンクリート壁が熱質量として機能します。日中は、日光がその変化のある表面(成形に使用された木の板の木目が刻印されている)と相互作用し、「時間の経過を示すダイナミックな視覚的表示」を生み出すとシャンク氏は述べます。
Austin, Texas | Kuper Sotheby’s International Realty
歩きやすい地域(ウォーカブルシティー)
新型コロナウイルスの流行後、人々が地元の施設へのアクセスのしやすさ、社会的つながりを重視するようになるにつれ、コミュニティが主導する「どこにも歩きやすい地区」がますます求められるようになっています。必要なものがすべてすぐ近くにあるそうした複合施設は、住居、商業、娯楽地区を融合させ、地域への帰属意識を育み、住民の自動車への依存を減らしながら、よりアクティブなライフスタイルや環境保護を促進しています。
オースティンの歴史的なクラークスビル地区のシックス&ブランコ・ホームズでは、このビジョンを体現しています。MMLホスピタリティとリバーサイド・リソーシズが共同開発し、有名建築事務所ヘルツォーク&ド・ムーロンが手がけたこの5階建てのプロジェクトには、10戸の高級住宅、厳選された小売店、レストラン、専用のホテル、スパがあります。サステナブルな木材構造で建てられ、中庭、テラス、緑の回廊などを歩行者が歩いて回れることを優先したこの建物は、いつも活気があり、歩きやすい都市の中心となっています。
Austin, Texas | Kuper Sotheby’s International Realty
「我々は都市の大きな変革を目の当たりにしている。立地が単に地理的な情報を持つだけでなく、『コミュニティとのつながり』を意味するようになった。」とシックス&ブランコで4つのベッドルームを有する物件を販売するグローバル不動産アドバイザー、クマラ・ウィルコクソン氏は述べます。「新型コロナウイルスの流行以降、購入者はコミュニティがある地区を求めている。歩きやすい地区(ウォーカブルシティー)は、便利で交流があり、帰属意識が持てるため、新たなトレンドとなった」
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