Cannes, France | Côte d’Azur Sotheby’s International Realty
1920年代、カンヌは文化人たちの憩いの地として栄えました。F・スコット・フィッツジェラルドやパブロ・ピカソといった芸術家たちが、ヤシの木が並ぶ大通りにインスピレーションと安らぎを求めて訪れたのです。
現在では、5月の映画祭期間中に豪華なヨットが港に並び、レッドカーペットの華やかさが街全体を包み込みます。しかし、カンヌの真価は、そのきらびやかさの奥にある、ゆったりとした贅沢な時間の流れにこそあります。
モナコやサン=トロペに近接し、ニース・コート・ダジュール空港とカンヌ・マンデリュー空港という2つの空港も利用できる立地から、洗練された旅行者を迎えるにふさわしい都市として進化を続けています。
かつてジャズ時代の社交場であり、ウィンザー公爵夫妻やチャーチル、JFK、グレース・ケリーなどが訪れた「パーム・ビーチ」は、近年リニューアルされ、いまでは「ズーマ」や「ナモス」といった流行のレストランが集まるスポットになっています。
また、歴史ある「カールトン・カンヌ」などの名門ホテルも改装され、アール・デコの面影を残しつつ、現代的なシックさを取り入れた内装へと生まれ変わりました。
「リヴィエラには詩のようなリズムがあります。洗練されながらも自由で、そこに流れる時間は特別です」と語るのは、インテリア建築家でデザイナーのレミ・テシエ氏。「パーム・ビーチのような象徴的な場所の再生により、カンヌは再び息を吹き返しています。ただの避暑地ではなく、通年で魂に響く街へと進化しているのです。」
Cannes, France | Côte d’Azur Sotheby’s International Realty
過去10年でカンヌの不動産市場も活況を呈しています。その背景には、一年を通しての人気が高まっていることがあります。「カンヌはもはや季節限定の街ではありません」と語るのは、「コート・ダジュール・サザビーズ・インターナショナル・リアルティ」のマネージング・ディレクター、フレデリック・バース氏。「年間300日も晴れる気候のおかげで、1月でもビーチでランチを楽しめますよ」
人口わずか7万人の小さな街ですが、エリアごとに個性がありながらも、すべてがカンヌらしさでつながっています。「海辺まで歩けて、ミシュランの星付きレストランから家族経営のかわいらしい店まで味わえる。そしてボートでレランス諸島に渡るのも一年中楽しめます」とバース氏は語ります。
たとえば、格式高い高級住宅地「ラ・カリフォルニー」地区に建つヴィラは、3000平方メートルの敷地に木々が生い茂り、プライバシーを確保しながら、ゲストハウスやテラス付きの管理人用住居も完備しています。室内にはオリジナルの装飾モールや暖炉、寄木細工の床が残され、屋外の広々としたプールエリアにはバーやハマム(モロッコ式スパ)まで備えられています。
Cannes, France | Côte d’Azur Sotheby’s International Realty
超高級ヨットやプライベートジェットの内装で知られるテシエ氏は、最近パリから南仏へ拠点を移し、モナコに2つ目のアトリエをオープンしました。「ここで求められているのは、美しさだけではありません。意味、職人技、そして時代を超える価値です。お客様はリヴィエラ独自の伝統と現代性が共存する空間を求めているのです」
海の眺めを求める声も高く、この丘にある6ベッドルームのヴィラでは、カップ・ダンティーブとエステレル山脈の壮大な景色を楽しめます。マスタースイートには専用テラスがあり、ダイニングエリアはインフィニティプールへと開かれた美しい庭園に続いています。さらに、フィットネスルームやマッサージルーム、映画ファンには欠かせないホームシアターも完備されています。
同じくラ・カリフォルニーにある現代的なヴィラは、海の眺望を最大限に活かすデザインで、各フロアからプール、庭園、そしてその先の海が見渡せます。何よりも、この落ち着いた人気住宅街からは、カンヌの海沿いプロムナード「ラ・クロワゼット」にすぐアクセスできます。“見られる”ことと“見る”ことの両方が楽しめる、それがカンヌの楽しみのひとつです。
Cannes, France | Côte d’Azur Sotheby’s International Realty
なお、テシエ氏自身もこの地に深いつながりを持っており、現在は海岸沿いに自らの邸宅を建築中です。構想から5年にわたるプロジェクトで、完成が待ち望まれています。「世界中で仕事をしてきましたが、やはりこの土地には特別な何かがあります。光、風景、そして精神性。だからこそ、自分自身の空間をここに築くことは自然なことでした」
カンヌは今なお魅力的な避暑地であり、その美学は街の空気感そのもの。風通しがよく、陽の光にあふれ、肩の力が抜けた心地よさがあります。
「モダンデザインの先駆者イリーン・グレイの精神は、今もこの地の光、ライン、風景の中に息づいています」とテシエ氏。「今、私たちが創り出しているのは、新しい章です。根を深く張り、静かに大胆で、紛れもなく“リヴィエラらしさ”を持ったものなのです」
フレンチ・リヴィエラから、王と財宝が眠るポルトガルの楽園シントラへ